まつむし音楽堂通信

 2020年 初秋号

 

●大型台風に秋の気配を感じるのも束の間、9月に入っても暑い日が続きます。コロナ禍も一因でしょうが、もはや暦どおりに季節を感じることはできません。祇園祭、天神祭の季節にはハモが、晩酌には泉州の水ナスが欠かせないという時代ではなくなったのですね。

●気象異変の原因については諸説ありましょうが、太陽の黒点活動とも関係がありそうです。この数年間、太陽黒点は減少を続け、目下のところ観測されていませんが、太陽を周期活動でみると、現在は「マウンダー極小期」(小氷河期)に相当するのだそうです。本来であれば、寒冷化が気になるところですが、巷ではクーラーが売れているらしいです。

●400年にもわたって流行を繰り返した「ペスト」の時代、ヨーロッパは寒冷化による食糧難と感染症のために人口は大幅に減少しました。地縁と血縁で結ばれた人々の集団は帰属先を失い、一人ひとりが個人として生きねばなりませんでした。

●現在の社会も、「密」を避けるコロナ禍により組織や集団の分断が進んでいますが、マスクや消毒液はともかく、未来にはデジタル回線をとおした接触だけが「安全」となるのでしょうね。つまり、デジタル社会では、自己責任とか個人の権利ばかりでなく、いわゆる「自立」の精神が求められているのかもしれません―。

(和田高幸)

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